概要
Solanaブロックチェーン関連のデジタル資産トレジャリー企業、Solana Company(HSDT)は、自社株価が60%急落しPIPE(上場企業向け私募)の購入価格を下回った状況を受け、PIPE投資家による株式売却の登録を予定より前倒しで実施することを発表した。同社はこの措置を「バンドエイドをはがす」積極的な対応と位置付けている。
背景
HSDTは、以前はHelius Medical Technologiesとして知られ、暗号通貨投資会社のPantera Capitalが支援する企業である。デジタル資産トレジャリー(DAT)企業は、暗号通貨を購入する資本を迅速に調達する手段として、PIPE取引を活用するケースが増えていた。PIPEでは、機関投資家が事前に設定された価格(多くの場合割引価格)で上場企業の株式を購入する。
テクニカル詳細
今回対象となる株式は、2024年9月に行われた私募において1株あたり6.881ドルで販売されたもの(総額5億ドル)である。この株式の売却が、当初の予定スケジュールよりも早期に可能となった。
マーケット動向
HSDTの株価は、PIPE取引発表後には25ドルを超える高値をつけたが、市場全体におけるデジタル資産トレジャリーへの熱狂が冷めたことで70%以上暴落した。直近では3営業日で約60%の時価総額が失われる急落に見舞われ、月曜日には17%下落し、約6.50ドルまで値を下げ、PIPEの購入価格である6.881ドルを下回った。
影響と展望
同社のジョセフ・チェー会長は、売却登録の効力発生による株価への圧力は「弱気な投資家を振り落とす」可能性があるが、それにより「残った確固たる長期株主の基盤が確立される」と見込んでいると述べている。この事例は、複数のDAT企業がPIPE投資家の売却登録が有効化された際に株価が暴落している事実と合わせ、暗号市場におけるこの資金調達モデルの持続可能性に対する懸念を浮き彫りにしている。
まとめ
Pantera Capital支援のSolana関連企業HSDTは、株価の大幅な下落を受け、早期投資家の株式売却を前倒しで許可する異例の措置を取った。これは、デジタル資産トレジャリー業界が採用してきたPIPE資金調達モデルが重大な試練に直面していることを示す顕著な事例である。