概要
暗号資産取引所およびウォレットプロバイダーのBlockchain.comが、SPAC(特別買収目的会社)を通じた米国市場での上場を検討していることが、関係者への取材で明らかになった。同社はCohen & Company Capital Marketsをアドバイザーに任命し、潜在的なSPAC取引について協議を進めているが、現在の協議状況は不明である。
背景
Blockchain.comは長年にわたり市場の変動に応じて様々な企業価値評価で資金調達を実施してきた。2021年3月には3億ドルを調達し、事後評価額は52億ドルに達した。2022年には別の資金調達ラウンドで評価額が140億ドルに上昇したが、2023年11月には1億1000万ドルの資金調達で評価額が70億ドルに調整されている。
マーケット動向
暗号業界では近年、公開市場への参入が相次いでいる。ステーブルコイン発行体のCircle(CRCL)が2025年6月にIPOで上場したのに続き、CoinDeskの親会社であるBullish(BLSH)が8月、暗号取引所のGemini(GEMI)が9月に上場を果たしている。競合他社のKrakenも来年早々の上場を検討していると報じられている。
影響と展望
Blockchain.comは公開企業体制への移行準備として、2025年2月に財務・業務経験が豊富な経営幹部2名を任命している。ゴールドマン・サックス出身のJustin Evansを新CFOに、Velocity Global元CFOで元Point72ポートフォリオマネージャーのMike WilcoxをCOOに起用した。Evans氏は当時、取引所が「公開市場が利用可能になった場合に備え、公開企業となるために必要な措置を講じている」と述べている。
また同社は今年初め、ガーナ、ケニア、南アフリカなど複数のアフリカ諸国への事業拡大を実施するなど、成長戦略を推進している。
まとめ
Blockchain.comはSPACを通じた上場の可能性を探っており、業界全体の上場トレンドに追随する動きを見せている。過去の資金調達実績と経営体制の整備から、公開市場参入に向けた準備を着実に進めていることがうかがえる。