債務拡大でAI事業転換進めるビットコインマイナー、収益化の試練に直面

ビットコインマイニング企業がAI(人工知能)やHPC(高性能コンピューティング)事業への転換を加速させる中、債務拡大による財務リスクが高まっている。2024年後半から2025年にかけて、上場マイナー企業は債務と転換社債を通じて46億ドル以上を調達し、第3四半期には推定60億ドルに達する記録的な水準となった。TerraWulfは32億ドルの優先担保付債券を発行し、公開マイナーとしては過去最大の単独調達を実施。IRENは10億ドルの転換社債、Bitfarmsは3億ドルの転換社債を発行した。市場はAI/HPC事業への転換を評価し、ビットコイン採掘ETF(WGMI)は年初来160%上昇しているが、TerraWulfの年利7.75%の債券は年間約2億5,000万ドルの利子支払いが必要で、同社の2024年収益1億4,000万ドルを大幅に上回るなど、債務返済能力と新事業からの収益創出が課題となっている。

概要

ビットコインマイニング企業がAI(人工知能)とHPC(高性能コンピューティング)事業への事業転換を進める中、債務と転換社債による資金調達が記録的水準に達している。2024年後半から2025年にかけて、公開マイナー企業は46億ドル以上を調達し、第3四半期には推定60億ドルに達した。TerraWulf、IREN、Bitfarmsなどが大規模な債券発行を実施しているが、高い金利負担と収益実行リスクが課題となっている。

背景

ビットコイン価格が年内10%上昇に留まる中、企業のビットコイン財務戦略への関心が薄れ、マイナー企業のビジネスモデル転換への注目が高まっている。2022年のベアマーケットではハッシュプライスの暴落とビットコイン価格70%下落により、貸し手が担保として差し入れられた採掘機を差し押さえる事例(Core Scientificのチャプター11破綻申請など)が発生した経験から、収益多角化の必要性が認識されていた。

マーケット動向

市場は純粋なビットコイン採掘事業からAI/HPC事業への転換を評価しており、ビットコイン採掘ETF(WGMI)は年初来160%上昇している。転換社債の発行は株主希薄化をもたらすものの、新たな投資家層の獲得にもつながっている。具体的な調達事例として、TerraWulfは32億ドルの優先担保付債券(年利7.75%)、IRENは10億ドルのゼロクーポン転換社債、Bitfarmsは3億ドルの転換社債を発行した。

影響と展望

債務拡大に伴うデフォルトリスクが懸念材料となっており、投資家は事業転換から意味のある収益が生み出されるか注視している。TerraWulfの例では、年利7.75%の債券が年間約2億5,000万ドルの利子支払いを必要とし、同社の2024年収益1億4,000万ドルを大幅に上回っている。AI-HPC事業への集中により、現在の債務拡大サイクルは過去とは異なるとの見方もあるが、収益化の実行が今後の焦点となる。

まとめ

ビットコインマイナー企業はAI/HPC事業への転換を加速させるため、記録的な債務調達を実施している。市場はこの戦転換を評価しているが、高い金利負担と収益実行リスクという課題を抱えており、今後の収益創出能力が試される段階にある。

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