ビットコインロゴ商標を特許トロールが取得、AmazonやEtsyで商品削除が発生

スペインの個人申請者がビットコインロゴの商標登録を取得したことで、AmazonやEtsyなどのECプラットフォームでビットコイン関連商品の削除が相次いでいる。スペインの裁判所は過去にビットコインロゴを公共財と認める判決を下しているが、プラットフォームの商標保護システムは登録商標を優先するため、国際的な商品削除が発生している。この問題は、暗号資産関連企業の商品販売に直接的な影響を与えており、商標権と公共財の概念が衝突する事例として注目されている。現在のところ、販売者は異議申し立て手続きを取るか、スペインでの商標無効手続きの進展を待つ必要がある。

概要

スペインでビットコインロゴの商標登録(登録番号ES5020240 M4296236)が個人申請者によって取得され、AmazonとEtsyでビットコイン関連商品のリスト削除が発生している。プラットフォームの商標保護システムが登録商標を優先するため、スペイン国内に限らず国際的な店舗でも商品削除が行われている。

背景

スペインの裁判所は2024年と2025年に、ビットコインロゴとワードマークを公共財(public domain)と認める判決を下している。ビルバオ商業裁判所とビスカヤ州裁判所は、このシンボルがコミュニティ資産であると判断し、私的団体による独占的権利の主張を信義則違反としている。

企業動向

Amazonのブランド登録制度とEtsyの知的財産ポリシーは、承認された知的財産機関からの商標登録を根拠に商品削除を行う仕組みとなっている。申請者は過去に欧州連合での商標出願(018460947)を行っていたが、2022年4月に拒否されている。

市場分析

ECプラットフォーム上のビットコイン関連商品販売業者に直接的な影響が生じている。販売者は数時間以内に商品削除通知を受け、アパレルやアクセサリー商品が店頭から消える事態が発生。プラットフォームの執行メカニズムにより、削除は迅速に進行している。

業界への影響

暗号資産業界全体において、コミュニティ資産の商標権取得リスクが顕在化。単一国家での商標登録が国際的なECプラットフォームで執行される構造的問題が浮き彫りになった。他の暗号資産シンボルにも同様のリスクが及ぶ可能性がある。

投資家の視点

短期的(0-6ヶ月)にはAmazonとEtsyでの断続的な商品削除が継続する見込み。中期的(6-18ヶ月)には、行政上の無効手続きや裁判所での無効訴訟の進展により状況が変化する可能性がある。販売者は削除通知の記録保存と、スペインの判例を引用した異議申し立ての準備が求められる。

まとめ

ビットコインロゴを巡る商標権問題は、プラットフォームの執行システムと現地の判例法の間の不一致により生じている。スペインでの商標登録が国際的な商品削除を引き起こす構造的な問題が明らかになり、今後の行政・司法手続きの進展が注目される。

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