概要
Netflixは2025年12月11日、暗号通貨を題材とした新作コメディ映画『ワン・アテンプト・リメイニング』の製作を発表した。本作は、離婚した元夫婦がクルーズ旅行で獲得した、現在では数百万ドルの価値を持つ暗号資産のウォレットパスワードを、アカウントの有効期限が切れるまで残り3日という制限時間の中で回復しようとする物語である。主演はジェニファー・ガーナー、監督はケイ・キャノンが務める。
背景
ジェニファー・ガーナーは、TVアクションシリーズ『エイリアス』で名声を得た後、『サーティーン・ゴーイング・オン・サーティ』などのロマンティックコメディや『ジュノ』などのアンサンブルドラマに出演。これまでにもNetflixオリジナル作品『イエス・デイ』、『アダム・プロジェクト』、『ファミリー・スイッチ』などで主演を務めている。本作では主演に加え、ショーン・レヴィ、ダン・レヴァイン(21 Laps)、ニコール・キング(Linden Productions)と共にプロデューサーも兼任する。公開日は現時点では未定。
テクニカル詳細
詳細は不明。
マーケット動向
詳細は不明。
影響と展望
本作の前提は、暗号通貨の世界で実際に発生している「紛失した秘密鍵による資産の永久ロック」という現実の問題を映し出している。元Ripple CTOのステファン・トーマスは、7,002 BTC(記事執筆時点で約6億4500万ドル相当)が入ったウォレットの秘密鍵が記録されたIronKeyデバイスのパスワードを失い、ジェームズ・ハウェルズは8,000 BTC(同約7億3800万ドル相当)の秘密鍵が入ったハードドライブを誤って捨ててしまった。ハウェルズの実話は既に米国の制作会社が権利を取得し、映像化される予定である。また、ウォレット回復サービス「Wallet Recovery NL」の創業者ニールス・ゾンダーヴァンは、2021年の取材で「多くの人は自分のパスワードが何であったかについて直感を持っているが、正確に思い出せない」と述べている。
本作の発表は、Netflixにとっては別の暗号通貨関連のニュースと同日になった。Netflixから4400万ドルの資金提供を受けてSFシリーズ『コンクエスト』を制作することになっていたカール・リンシュ監督が、そのうちの1100万ドルを銀行口座を通じて不正に流用し、有価証券と暗号通貨に投資したとして、電信詐欺罪、マネーロンダリング罪、不法取得財産取引罪の計7つの罪で有罪判決を受けた。リンシュ監督は最大90年の禁錮刑に直面し、判決は2026年4月17日に言い渡される予定。
まとめ
Netflixが製作を決定したコメディ映画『ワン・アテンプト・リメイニング』は、暗号資産のパスワード紛失という現実の問題をロマンティックコメディの形で描く。ジェニファー・ガーナー主演の本作は、暗号通貨のリスクの一つである「自己責任」の側面をエンターテインメントとして広く一般に知らしめる可能性がある。発表は、Netflixが関わる別の暗号通貨をめぐる不正事件の判決日と重なり、暗号資産とエンタメ産業の交錯を印象付ける出来事となった。