概要
主要な暗号資産ウォレット「Phantom」は、米国規制下のイベント取引所「Kalshi」と提携し、その約2000万人のユーザーに対して予測市場機能の提供を開始した。ユーザーはウォレット内で、SOLやUSDCなどのSolanaベーストークンを用いて、現実世界の出来事に関する予測市場取引に参加できるようになる。また、市場内でのチャット機能も導入され、ソーシャル要素が追加される。
背景
予測市場は、暗号資産と伝統的市場の交差点において急成長している分野であり、2024年の米国選挙を機に人気を高めた。一方で、暗号資産ウォレット業界では、MetaMaskが競合予測市場プラットフォームのPolymarketを統合するなど、ステーブルコインやパーペチュアル取引に加え、新機能を追加して包括的なインターフェースを提供する動きがトレンドとなっている。Phantomも今年初めにStripeが発行するアプリ内ステーブルコイン「CASH」を導入し、パーペチュアル契約やトークン化株式の取引機能を追加している。
テクニカル詳細
今回の統合により、ユーザーはPhantomウォレットのインターフェースを離れることなく、Kalshiの予測市場に直接アクセスし取引を行うことができる。取引の決済には、SOL、USDC、PhantomのCASHを含む「あらゆるSolanaベースのトークン」が利用可能であり、PhantomのCEOブランドン・ミルマンは、Fartcoin(FART)のようなミームコインでの取引も可能であることを明らかにした。
マーケット動向
この発表は、2025年12月12日にアブダビで開催されたSolana Breakpointカンファレンスのステージ上で行われた。Phantomのユーザーベースは約2000万人にのぼる。Kalshiは米国商品先物取引委員会(CFTC)の連邦監督下で運営されている。
影響と展望
ウォレット内での予測市場取引の実現は、ユーザー体験の向上とエコシステム内での資金滞留を促す可能性がある。しかし、予測市場という性質上、規制環境の変化は重要なリスク要因となる。ネバダ州連邦裁判所が、スポーツイベントの結果に基づく契約は州のギャンブル法の監督下に該当する可能性があるとの判決を下しており、Kalshiや他の予測市場プラットフォームが規制当局からの反発に直面する可能性が記事では指摘されている。
まとめ
PhantomはKalshiとの提携により、約2000万人のユーザーに対してウォレット内での予測市場取引機能を提供する。これは、暗号資産ウォレットが多様な金融サービスを単一インターフェースに統合する業界トレンドに沿った動きである。取引には幅広いSolanaベーストークンが利用可能となるが、規制環境の今後の動向が市場の発展に影響を与える可能性がある。