概要
マイクロストラテジー(MSTR)の会長であるマイケル・セイラーは、2025年もビットコイン(BTC)エコシステムにおける最も影響力のある人物の一人として位置づけられている。同社はビットコインを企業財務の中心に据えた先駆者だが、2025年は前年ほどの株価上昇を再現できず、厳しい環境に直面した。これに対応するため、同社は新たな資金調達手段として優先証券を発行し、非希薄的な方法でビットコイン保有量の拡大を図っている。
背景
マイケル・セイラー氏が率いるマイクロストラテジーは、2020年以降、積極的にビットコインを企業の財務資産として購入・保有する戦略を推進してきた。2024年には、米国でのビットコイン現物ETFの登場にもかかわらず、同社の株価は5倍に急騰し、セイラー氏の影響力は頂点に達した。しかし、2025年の環境は一変している。
マーケット動向
2025年、MSTRの株価は年初来でマイナスとなっている。この不振は、ビットコイン自体の価格変動(ボラティリティ)が縮小したこと、そして米国スポットETFのオプション取引が開始され、投資家がビットコインへのエクスポージャーを得るための代替ルートを手にしたことが背景にある。これらの要因により、MSTRの純資産価値(NAV)に対する倍率(mNAV)は大幅に縮小した。
影響と展望
市場環境の変化を受けて、マイクロストラテジーは2025年に「STRK」、「STRF」、「STRD」、「STRC」という4つの永久優先証券商品を立ち上げた。これらのIPOにより総額46億ドルの粗収益を調達し、そのうち3つは既に二桁のリターンを達成している。この優先証券プログラムは、新株発行による希薄化を伴わずに資金を調達し、ビットコイン保有量を増やすメカニズムとして機能している。さらに同社はこのプログラムを国際化し、欧州ではユーロ建ての優先株「Stream」を発行した。セイラー氏とマイクロストラテジーの戦略は、企業によるビットコイン財務戦略の一つのモデルケースとして、その適応と進化を見せ続けている。
まとめ
ビットコインを大量に保有する企業として市場をリードするマイクロストラテジーとその会長マイケル・セイラーは、2025年も変わらず大きな影響力を持っている。厳しい市場環境の中、従来の株価上昇トレンドを維持できていないものの、新たな金融商品による資金調達でビットコイン保有拡大の道を模索し、企業のビットコイン戦略の在り方を進化させ続けている。