概要
ブロックチェーンサービス企業Rippleの決済子会社「Ripple Payments」は、スイスの暗号資産銀行AMINAと提携した。これにより、AMINAはRippleのフィアット通貨とステーブルコインを結ぶ決済インフラを利用可能となり、Ripple USD(RLUSD)ステーブルコインを活用した、より効率的で高速、低コストな取引決済を提供できるようになる。AMINAはFINMA規制下の金融機関であり、この提携はRippleの欧州市場における展開を強化するものだ。
背景
RippleとAMINAは以前から関係を築いており、AMINAがRLUSDステーブルコインを統合したのは2024年7月にさかのぼる。今回の提携はその関係を発展させたものとなる。AMINAはスイス金融市場監督機構(FINMA)の規制を受ける金融機関であり、そのオーストリア子会社は2024年10月にオーストリア金融市場監督局から欧州連合(EU)の暗号資産市場規制(MiCA)に基づくライセンスを取得している。
テクニカル詳細
Ripple Paymentsが提供する決済インフラは、従来の決済システムに依存せず、取引の決済をより効率的に行うことを可能にする。このインフラは、フィアット通貨とステーブルコインの両方の決済経路(レール)を同時に扱うことができ、伝統的な銀行ネットワークでは提供できない機能を備えている。Ripple Paymentsは「フィアット通貨とブロックチェーンの架け橋」として機能し、シームレスなステーブルコイン決済を実現する。
マーケット動向
具体的な取引量や価格に関する数値データは、本記事では言及されていない。
影響と展望
AMINAの最高プロダクト責任者(CPO)であるマイルズ・ハリソン氏は、「ネイティブなWeb3企業は、従来の銀行システムと連携する際に摩擦に直面することが多い」と指摘し、特に国境を越えたステーブルコイン取引は伝統的銀行がまだ広く採用しておらず、ステーブルコインがこうした課題の解決に役立つと述べた。同氏は、銀行の顧客は「フィアット通貨とステーブルコインのレールを同時に処理できる決済インフラ」を必要としており、Ripple Paymentsの提供により、国境を越えた摩擦を軽減し、暗号資産ネイティブな顧客の競争優位性維持を支援できると説明した。
Rippleの英国・欧州担当マネージングディレクター、キャシー・クラドック氏は、この提携によりAMINAが「デジタル資産の革新者を従来の金融インフラへ導くオンランプとして機能する」と述べた。
この提携は、Rippleが従来の金融に携わる機関にブロックチェーン機能を提供する最新のパートナーシップである。2024年11月中旬の報道によれば、Rippleはプライムトレーディング、財務管理ツール、決済、カストディサービスを組み合わせ、従来型金融に対抗するために約40億ドルを投じているとされる。
Rippleの野心は世界的なものであり、今月初めにはシンガポール中央銀行から決済活動の拡大の承認を得て、アジア太平洋地域での規制対象トークンサービス、エンドツーエンドの決済提供、成長が可能となった。また、11月末にはRLUSDがアブダビの現地監督当局から「承認されたフィアット参照トークン」として認定され、同地域の機関での使用が認可されている。
まとめ
Ripple Paymentsとスイス暗号資産銀行AMINAとの提携は、Rippleの決済インフラが規制を受けた金融機関に統合されることを意味し、欧州市場における同社の存在感を強固なものにしている。この提携は、ステーブルコイン、特にRLUSDを活用した、より効率的で低摩擦なクロスボーダー決済の実現を後押しし、伝統的金融とブロックチェーンを結ぶRippleの戦略の一環を成すものである。