概要
ビットコイン(BTC)は、FRBの金融政策や地政学的リスクを材料に、9万ドル前後で推移するもみ合い相場が続いている。機関投資家のETF流入は小幅に改善し、企業によるBTC購入も継続している。オンチェーン分析では売り圧力の緩和が確認され、一部のアナリストは、特定の技術的水準の突破により、価格が10万ドルに向かう可能性を示唆している。
背景
ビットコイン価格は、FRBの金融政策決定会合(FOMC)の結果を受けて軟調な動きを見せた。FRBは12月に予想通り政策金利を25ベーシスポイント引き下げたが、1月の利下げ見送りを示唆し、さらに2026年全体の利下げ幅の見通しを1/4%ポイントに据え置いた。この慎重姿勢は、市場が期待していた2回の利下げ期待を後退させ、リスク資産全般に短期的な調整圧力をもたらした。
テクニカル詳細
週足チャートでは、BTC価格が100週指数移動平均線(EMA、8万5,809ドル)付近で支持を見いだし、10月末から続いた4週間の調整後に2本連続で陽線を形成している。相対力指数(RSI)は40付近で上向きに転じており、弱気の勢いが減退しつつあることを示唆する。上昇を持続するためにはRSIが中立水準の50を上回る必要がある。
日足チャートでは、BTC価格が4月の安値7万4,508ドルから10月の史上高値12万6,199ドルまでのフィボナッチ・リトレースメントの61.8%水準(9万4,253ドル)で反落したが、9万ドルの心理的節目を再テストした後、反発している。下降トレンドライン(10月初め以降の高値を結んだ線)を突破し、9万4,253ドルの抵抗線を上抜けることができれば、上昇が10万ドルの心理的節目まで拡大する可能性がある。移動平均収束拡散法(MACD)は11月末に生じた強気のクロスオーバーを維持しており、強気のシナリオを支持している。
マーケット動向
機関投資家の需要は、米国上場スポットビットコインETFの資金流入にわずかな改善が見られる。SoSoValueのデータによると、木曜日までの今週の純流入額は2億3,744万ドルで、先週の8,777万ドルの純流出から転じた。ただし、9月中旬に見られたような大幅な流入には至っていない。
企業動向では、ストラテジー社(MSTR)が12月1日から7日にかけて平均価格9万615ドルで10,624BTC(約9億6,270万ドル相当)を購入し、総保有量を660,624BTC(時価総額約493.5億ドル相当)に増加させた。同社はさらなる資金調達能力を有しており、大規模なBTCの追加購入が可能な状態にある。
オンチェーンデータ(CryptoQuant)によると、大口保有者による取引所への預入比率は、11月中旬の24時間平均高値47%から、水曜日現在21%に低下した。同時に、平均預入額も11月22日の1.1BTCから0.7BTCへ36%減少しており、売り圧力が緩和しつつあることを示している。
影響と展望
オンチェーン分析会社CryptoQuantは、売り圧力が低水準で維持されれば、BTCは9万9,000ドル(トレーダーのオンチェーン実現価格帯の下限)まで回復する可能性があると分析している。その後の主な抵抗線は10万2,000ドル(1年移動平均)および11万2,000ドル(トレーダーのオンチェーン実現価格)とされている。
Copper Researchのヘッド・オブ・リサーチ、ファディ・アブアルファ氏は、スポットETF上場後、BTCはそのコストベース(約8万4,000ドル)付近まで下落した後、約70%上昇する反復可能なミニサイクルを示していると指摘。現在の水準から、今後180日間で14万ドルを超える上昇が期待できるとの見解を示した。過去のサイクルと同様にコストベースが10~15%上昇した場合、過去のピーク時のプレミアムを考慮すると、目標価格帯は13万8,000ドルから14万8,000ドルになるとしている。
まとめ
ビットコインは、FRBの慎重姿勢や地政学的懸念を背景に、9万ドル前後での調整局面が続いている。しかし、機関投資家のETF流入は小幅ながら改善し、企業によるBTC購入は継続、オンチェーンデータでは売り圧力の緩和が確認されている。技術的には、下降トレンドラインの突破が次の方向性を決定する鍵となる。アナリストの見方では、売り圧力の緩和や反復サイクルを根拠に、中期的な上昇シナリオも提示されている。