ステーブルコイン大手テザーによるイタリア名門サッカークラブ・ユヴェントス買収提案、筆頭株主エクソールにより拒否

ステーブルコイン発行元のテザー(Tether)による、イタリアの名門サッカークラブ「ユヴェントス」の完全買収を目指す提案が、筆頭株主であるエクソール(Exor)の取締役会により全会一致で拒否された。テザーは現在ユヴェントスの約10%の株式を保有する第2位の株主であり、アニェッリ家が支配するエクソールが保有する65.4%の株式を現金で買い取る拘束力のある提案を行っていた。提案が受け入れられた場合、クラブの成長に追加で10億ドルを投資する計画も表明していた。しかしエクソールは、アニェッリ家が1世紀以上にわたり安定した誇りある株主であり、クラブへのコミットメントを継続するとして、売却意思がないことを明言した。このニュースを受け、クラブに関連するトークンJUVは24時間で32%以上急騰したが、エクソールの拒否発表への反応は現時点では見られていない。これは、暗号資産企業による伝統的な大規模スポーツ資産への参入が注目される中での重要な動向であり、暗号資本と従来型資本の交錯を示す事例となった。

概要

ステーブルコイン発行元のテザー(Tether)が、イタリアの名門サッカークラブ「ユヴェントス」の筆頭株主エクソール(Exor)が保有する65.4%の株式を現金で買収する提案を行ったが、エクソール取締役会により全会一致で拒否された。エクソールは、アニェッリ家が1世紀以上にわたり安定した株主であり、クラブへのコミットメントを継続するとして、売却意思がないことを明言した。テザーは現在、ユヴェントスの第2位の株主(約10%保有)である。

背景

テザーは、イタリアの名門自動車会社フィアットなどを含む多産業ビジネス王朝であるアニェッリ家が支配する持株会社エクソールに対して買収提案を行った。テザーは提案に先立ち、クラブに対する「深い賞賛と敬意」を表明し、提案が受け入れられた場合、クラブの成長に追加で10億ドルを投資する計画を公表していた。ユヴェントスは過去7年間で10億ユーロ(約11億7000万ドル)を超える資本注入を必要とするなど、継続的な財務的課題に直面している。

マーケット動向

このニュースを受け、サッカークラブに関連するファントークン「JUV」は、テザーがクラブ買収の準備をしていると明らかにした後、24時間で32%以上急騰した。ただし、執筆時点では、エクソールによる買収提案拒否の発表に対する反応はまだ見られていない。ユヴェントスの株式は、金曜日の取引セッションで0.9%下落し、2.194ユーロ(2.58ドル)で取引された。クラブの時価総額は約9億8800万ドル前後で推移している。テザーは現在、エクソールに次ぐユヴェントスの第2位の株主であり、11.53%の株式を保有している。

影響と展望

エクソールはプレスリリースでテザーの提案を「未承諾」と呼び、アニェッリ家がクラブの成功に対する継続的なコミットメントを再確認した。クラブの新経営陣を支援し、ピッチ内外で強い結果を出す明確な戦略の実行に「完全にコミットしている」と述べた。この決定は、暗号資産企業による主要なスポーツフランチャイズの買収や支配的関与への期待を一時的に後退させる可能性がある。一方、テザーが既に相当数の株式を保有していることから、今後も重要な少数株主としてクラブ運営に関与し続ける可能性は残っている。

まとめ

ステーブルコイン大手のテザーによるユヴェントスの完全買収提案は、筆頭株主エクソールにより拒否された。エクソールは長年にわたるクラブへのコミットメントを理由に売却意思がないことを明確にした。市場では関連トークンが一時的に急騰する動きも見られたが、伝統的な資本と暗号資本の直接的な対立という構図が浮き彫りになった事例となった。

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