NFTプロジェクト「Pudgy Penguins」、ラスベガス・スフィアをホリデーキャンペーンで独占

人気NFTプロジェクト「Pudgy Penguins」が、ラスベガスの象徴的建造物「スフィア」でクリスマス週間に広告キャンペーンを展開する。2021年にイーサリアムでローンチしたこのプロジェクトは、8,888体のペンギンNFTコレクションで知られるが、近年は実体玩具の販売やブラウザゲーム「Pudgy World」への展開など、現実世界の消費者市場への進出を加速させている。今回のキャンペーンは約50万ドルを投じ、12月24日から数日間にわたり複数のアニメーション映像を放映予定。これは、暗号プロジェクトが暗号空間を超えて一般消費者の心に触れようとする動きの一環と位置付けられる。また、同プロジェクトは今年、NFTの最低価格(フロア価格)で一時的に「Bored Apes Yacht Club」を上回り、ソラナブロックチェーン上にネイティブトークン「PENGU」をローンチするなど、活発な活動を続けている。スフィアでの広告掲出はビットコイン関連のアクティベーションが7月に行われた例があるものの、暗号関連ブランドとしては極めて稀な事例であり、NFTプロジェクトのマーケティング戦略の新たな段階を示すものと言える。

概要

NFTプロジェクト「Pudgy Penguins」が、ラスベガスの巨大LEDエンターテインメント施設「スフィア」をクリスマス週間(12月24日から数日間)に独占し、広告キャンペーンを実施する。このキャンペーンには複数のアニメーション映像が含まれ、プロジェクトが暗号空間を超えて現実世界の消費者市場への進出を図っていることを示す。キャンペーン費用は約50万ドルとされる。

背景

Pudgy Penguinsは、2021年の暗号ブーム時に登場したNFTプロジェクトで、イーサリアム上に8,888体のユニークな特性を持つ漫画風ペンギンNFTコレクションとしてローンチした。その後、新たなリーダーシップの下で、主要小売店で販売される実体玩具や、ブラウザベースのソーシャルゲーム「Pudgy World」への展開など、消費者向け事業を拡大してきた。ラスベガス・スフィアは、U2やイーグルスなどの公演で知られる没入型ディスプレイを備えた高プロファイルな施設であり、暗号関連ブランドが広告スペースを確保する例は稀で、ビットコインに焦点を当てたアクティベーションが2024年7月に行われた程度である。

テクニカル詳細

Pudgy PenguinsのNFTコレクションは、イーサリアムブロックチェーン上にて2021年に立ち上げられた。また、同プロジェクトは2024年12月、ソラナ(SOL)ブロックチェーン上にネイティブトークン「PENGU」をローンチしたことを発表している。このトークンは、CoinbaseやRobinhoodなどの主要取引所に上場済みである。

マーケット動向

Pudgy PenguinsのNFTコレクションは、2024年初頭に一時的に「Bored Apes Yacht Club」のフロア価格を上回り、世界で2番目に価値の高いNFTコレクションとなった時期があった。当時、コレクションのフロア価格は10万ドルを超えていた。最も人気の高いPudgy Penguin NFTは、2022年8月に400 ETH(当時の価値で約65万ドル)で売却されたと報告されている。現在のイーサリアム価格(約3,086ドル)に基づけば、そのNFTの価値は120万ドルを超える計算となる。一方、PENGUトークンは、過去1年で約80%下落し、2024年7月に記録した史上最高値0.042ドルからは約74%下落している。

影響と展望

Pudgy Penguinsの戦略・ブランド責任者であるVedant Mangaldas氏は、このスフィアでのキャンペーンについて、「暗号プロジェクトが暗号を超え、日常の消費者の心と精神に触れることができることを示すもの」と述べている。同氏は、プロジェクトの背後に「実在するビジネス」があることが今回の取引を可能にしたと説明した。この動きは、NFTプロジェクトが単なるデジタル収集品の枠組みを超え、総合的な消費者向けブランドとして成長し、従来のマーケティングチャネルを活用し始めていることを示唆している。

まとめ

Pudgy Penguinsプロジェクトは、高視認性の物理的広告キャンペーンを通じて、そのブランド認知を暗号コミュニティの外へ拡大しようとしている。NFT市場の低迷期を乗り越え、実体商品やゲーム、ネイティブトークンの展開など多角的な事業拡大を続ける同プロジェクトの動向は、NFTプロジェクトの進化形の一端を象徴する事例と言える。

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