概要
ビットコイン(BTC)のドル建て価格は2025年10月に約124,700ドルまで上昇した後、11月には80,000ドル台半ばまで急落するなど、高いボラティリティを見せた。しかし、金(XAU)建てで同じ期間を測定すると、全く異なる状況が浮かび上がる。BTC/XAUレシオは1月12日の週次ピークから約45%下落し、11ヶ月間にわたる下降トレンドが継続しており、12月初旬の小幅な上昇でもその構造は変わっていない。これは、ビットコインが「価値保存手段」としての最も重要なテストに苦戦していることを示している。
背景
ビットコインの年間パフォーマンスは通常、ドル建てチャートを通じて語られる。これは、第4四半期の混乱した価格変動を捉える一般的な枠組みだ。しかし、ドルという枠組みを完全に外し、同じ期間を金のオンス建てで測定すると、ボラティリティの下でほとんど気付かれずに進行していた別のトレンドが明らかになる。
テクニカル詳細
分析は、ビットコインの価値を金のオンス数で表す「BTC/XAU」レシオに基づいている。このレシオは、通貨条件や政策サイクルによる歪みをフィルタリングし、「市場が1単位のデジタル希少性(ビットコイン)と交換するために、何オンスの金を喜んで支払うか」というシンプルな問いに答える。2025年1月1日から12月12日までのデータによれば、このレシオは46週連続で下降傾向にある。
マーケット動向
週次終値ベースでは、ビットコインのドル建て価格は1月の水準から約10%下落しているに過ぎない。一方、金に対するレシオは同じ期間に約45%下落しており、下落幅は4倍以上に及ぶ。具体的には、12月5日の89,348ドルから12月12日には92,300ドル強まで回復したが、金に対するレシオの上昇は2〜3%程度に留まり、1月以降続く下降構造を脅かすものではなかった。
影響と展望
この分析は、ビットコインの二つのアイデンティティを明確に分離している。ドル建てチャートは、ドルの流動性、ETFの資金流出入、リスク選好の急激な変動に形作られる「流動性敏感側面」を反映する。一方、XAU(金)建てチャートは、通貨の中立性と長期的な準備資産としての可能性を主張する「ハードアセットとしてのアイデンティティ」を反映する。後者の軸において、ビットコインはほぼ1年間下落を続けており、10月の上昇もほとんど影響を与えず、11月の下落は1月から続くトレンドを延長したに過ぎない。
機関投資家はこのようなクロスアセットの観点で考える。彼らは、ビットコインが急落から反発したかどうかだけでなく、機関投資家のポートフォリオの中核をなすヘッジ、準備資産、実物資産のベンチマーク群に対してアウトパフォームしたかどうかを問う。金に対する1年間のアンダーパフォーマンスは、ビットコインのテーゼが、デジタル希少性が自動的に優れたヘッジとして機能するという前提よりも、成長、技術、採用に依存することを強いる。
まとめ
ビットコインが金建てでの「静かな弱気相場」から脱するためには、BTC/XAUレシオが11ヶ月間のパターンを打破し、1月以来実現していない「より高い週次高値」を設定する必要がある。これは、ビットコインの強さと金の安定性が組み合わさった場合に一般的に出現する状況だ。2026年が近づく中、金建てチャートは、ビットコインがまだ証明しなければならないこと、すなわち政策サイクルと共に動く通貨に対してだけでなく、機関投資家の資産配分の中心に位置する他の価値保存手段に対する強さを試すシンプルなテストとなる。このテストに合格するまで、オンス建ての視点は、市場にボラティリティと方向性は同じものではなく、より深いサイクルのシグナルは依然として金によって記されていることを思い出させ続けるだろう。