概要
マイケル・セイラーCEOが率いるマイクロストラテジーは、ナスダック100指数の最新の見直しにおいて、構成銘柄としての地位を維持した。しかし、同社のビットコインを中心とした事業モデルを巡る懸念は続いており、グローバル指数プロバイダーのMSCIが、同社のようなデジタル資産を大量に保有する企業を指数から除外するかどうかの審査を進めている。MSCIの決定は2025年1月に下される見込みで、市場の注目を集めている。
背景
マイクロストラテジーは2020年、従来の企業向けソフトウェア事業から、ビットコインを大量に購入・保有する「ビットコイン蓄積戦略」へと事業モデルを大胆に転換した。この動きはその後、多くの企業が自社資産の一部としてビットコインを保有する「コーポレート・トレジャリー」の潮流を生み出すきっかけとなった。しかし、同社の株価がビットコイン価格と強く連動するようになった結果、その事業実態がテクノロジー企業というより投資ファンドに近いとの見方も生まれ、主要株価指数における分類や適格性について疑問の声が上がっていた。
マーケット動向
ナスダック100指数は、ナスダック市場に上場する金融業を除く主要100銘柄で構成される。今回の定期的な見直しでは、バイオジェンやCDWコーポレーションを含む約5社が指数から除外され、代わりに製薬株やコンピュータハードウェアメーカーなどが新たに加わった。これらの変更は2024年12月22日に発効する。マイクロストラテジーは昨年12月に同指数にテクノロジー株として組み入れられて以来、地位を維持している。一方、同社株は過去1年の高値から約65%、年初来でも約36%下落している。
影響と展望
現在、最大の焦点はMSCIの審査結果である。MSCIは、マイクロストラテジーを含むデジタル資産を大量に保有する企業を、同社の「グローバル投資可能市場指数」シリーズから除外すべきかどうかを検討している。MSCIの指数は世界中で数兆ドル規模の運用資産のベンチマークとして採用されており、除外が決定されれば、それに連動するパッシブ運用ファンドによる大規模な売りが発生する可能性がある。専門家は、除外によるパッシブファンドからの資金流出は15億ドルを超えると推計している。
マイクロストラテジーはMSCIの提案に対して正式に異議を申し立てており、デジタル資産トレジャリー企業の除外は投資家に悪影響を与えると主張している。また、資産運用会社のビットワイズも、MSCIの判断基準が明確なルールに基づくべきプロセスに不必要な主観を持ち込むものだとして、マイクロストラテジーらの主張を支持するコメントを出している。
まとめ
マイクロストラテジーはナスダック100における地位をひとまず維持したものの、そのユニークなビットコイン中心のビジネスモデルに対する市場の評価は二分されている。近く発表されるMSCIの指数構成見直しの結論は、同社のみならず、同様の戦略を取る企業に対する機関投資家の姿勢を示す重要な指標となり、今後の企業によるデジタル資産保有の在り方に影響を与える可能性がある。