概要
プライバシーコインZcash(ZEC)は、このサイクルで3か月間に700%を超える急騰を見せた後、調整局面に入っている。直近の価格は三角保ち合いパターン内で推移しており、短期的な方向感は不透明だ。しかし、オンチェーンデータと出来高データは、買い手が依然として市場を静かにコントロールしている可能性を示唆しており、次の大きな価格変動(ショック)の可能性が注目されている。
背景
Zcashは、ゼロ知識証明(zk-SNARKs)を利用した高度なプライバシー機能を特徴とする暗号通貨である。直近では、より広範なアルトコイン市場の動向やリスク選好の高まりの中で、顕著な上昇トレンドを形成してきた。
テクニカル詳細
現在のZcash価格は、上昇トレンドラインを下支えとした三角保ち合いパターン内で取引されている。このパターンは短期的な買い手と売り手の優劣不定を示すものであり、トレンドそのものの弱さを必ずしも意味しない。重要な分析ツールとして、Wyckoff式出来高カラー分析が用いられている。青いバーは買い手主導の活動、黄色や赤のバーは売り手の影響力増大を示す。現在、青いバーが優勢であることが確認されている。
マーケット動向
価格動向:過去24時間で約2.5%の小幅な押し目が発生しているが、過去1週間では約20%上昇、過去3か月では700%以上上昇しており、長期的な上昇トレンドは維持されている。
オンチェーンデータ:スポットフローデータ(取引所への流入/流出)が重要な指標となっている。12月12日には約1426万ドル相当の流入(ネットインフロー)が記録されたが、12月13日には状況が一転し、約1734万ドル相当の流出(ネットアウトフロー)が発生した。取引所からの流出増加は、即時の売り圧力軽減と、押し目場でのスポット買い手の積み増しを示唆する。
影響と展望
今後の価格方向性は、現在の三角保ち合いパターンからのブレイクアウトの方向によって決まると見られる。強気のシナリオが継続するためには、Zcash価格がパターン上端をブレイクする必要がある。具体的な確認水準は511ドル(現在価格から約24%上昇)であり、この水準を日足で明確に上抜けることができれば、上昇トレンドの再開と買い手優位の確認シグナルとなる。その場合、最初の上値目標は549ドル付近、次にこのサイクルで過去に天井となった733ドルが想定される。さらなる上値抵抗帯は850ドルおよび1190ドル付近にあるが、これらの水準到達には持続的な上昇モメンタムと広範な市場環境のサポートが必要となる。
一方、下値リスクも明確に定義されている。430ドルの水準を失うと三角保ち合い構造が弱体化し、次の強力な支持線は391ドル付近となる。市場全体でリスクオフの圧力が広がるような場合、より深い調整により301ドルまで下落する可能性も排除できない。
まとめ
Zcashは大幅な上昇後の調整局面にあるが、オンチェーンデータは買い手の継続的な関与を示唆している。取引所からの資金流出や買い主導の出来高構造は、短期的な押し目がトレンド転換ではなく、上昇の一時的な休憩である可能性を支持している。今後の焦点は、三角保ち合いからのブレイクアウトの方向性、特に511ドルの上抜け確認または430ドルの支持線維持にある。