概要
日本銀行(BOJ)が12月18日から19日の金融政策決定会合で政策金利の引き上げを行う可能性が高まっており、ビットコイン市場に緊張が走っている。予測市場では利上げ確率が98%と見積もられ、過去の利上げ時にビットコインが20~30%下落した歴史的パターンから、今回も同様の下落で価格が7万ドルを割り込むリスクが指摘されている。一方で、米FRBの利下げと組み合わさる長期的な資本の流れの変化は、リスク資産にとって好材料となる可能性もあるとされる。
背景
日本は長年にわたり超低金利政策を維持し、世界の安価なレバレッジ(借入資金)の主要な供給源となってきた。機関投資家らは低金利の円を借り入れ、それを世界の株式、債券、暗号資産などに投資する「円キャリートレード」を展開してきた。しかし、日銀が利上げに踏み切れば、このキャリートレードの採算が悪化し、円建てのレバレッジポジションが解消され、リスク資産の売り圧力となる懸念が生じている。
マーケット動向
ビットコイン(BTC)は現在、88,956ドルで取引されており、過去24時間で1.16%下落している。予測市場Polymarketは、日銀が政策金利を25ベーシスポイント引き上げて0.75%とする確率を98%と評価している。アナリストは過去の日銀利上げ後のビットコイン価格の下落を指摘しており、2024年3月に約23%、同年7月に約25%、2025年1月には30%超下落した実績がある。今回も同様のパターンが繰り返されれば、現在の水準から約20%下落し、7万ドルを下回る可能性が示唆されている。
影響と展望
市場関係者の間では見解が分かれている。悲観的な見方では、日銀利上げによる円キャリートレードの縮小が、グローバルなリスク資産、特にビットコインの流動性に直接的な打撃を与え、短期的な大幅下落を引き起こすと懸念されている。アナリストの0xNobler氏やMerlijn The Trader氏は、過去のパターンに基づき、今週のボラティリティに備えるよう警告している。
一方、マクロアナリストのQuantum Ascend氏らは、日銀の段階的な利上げと米FRBの利下げが組み合わさる状況は、ドル流動性の注入と円高を同時に進行させ、世界的な流動性を著しく毀損することなく、非対称な上昇余地を持つリスク資産(暗号資産を含む)への資本の流入を促す「極めて強気の材料」であるとする見解を示している。
まとめ
日銀の金融政策決定は、ビットコイン価格に対する年内最大のマクロ要因の一つとして注目されている。過去の価格パターンから短期的な下落リスクが強く意識される一方、米金融政策との組み合わせによる中長期的な資本循環の変化を楽観視する見方も存在する。年末の流動性低下も相まり、市場の不確実性が高まっている。