概要
ビットコインを大量に保有する企業マイクロストラテジーの会長、マイケル・セイラーが、Xでの投稿を通じて、同社による新たなビットコイン購入を示唆しました。この動きは、暗号資産市場のセンチメントが「極度の恐怖」を示す中でのものです。一方で、アナリストは、ビットコイン価格の上昇がオプション売りによって抑制されていると分析。デリバティブデータも価格がレンジ内で動いている状況を確認しています。
背景
マイクロストラテジーは世界最大の企業ビットコイン保有者であり、StrategyTrackerのデータによると、70万8,000BTC以上(時価約590億ドル、BTC価格89,273ドル換算)を保有しています。同社の平均取得コストは現在の市場価格よりもはるかに低く、長期的なビットコインへの確信を示しています。
マーケット動向
市場センチメントを示す「Crypto Fear and Greed Index」は21を下回り、「極度の恐怖」領域にあります。この水準は数週間にわたり続いており、トレーダーの継続的な警戒感を反映しています。ビットコイン先物の取引量は24%減少し、約490億ドルとなり、短期的な投機や信頼感の低下を示唆しています。一方、未平倉残高は3.2%増加し、約607億ドルとなりました。未平倉残高の増加と取引量の減少は、ポジションはあるものの勢いがない状態、すなわちレンジ相場の一般的な兆候です。
影響と展望
ビットワイズのジェフ・パーク氏は、ビットコインの上値が限られている理由として、初期保有者によるコールオプションの売却が循環供給量を増加させているためと説明しています。ビットコインETFは現物の供給を吸収し続けていますが、これは価格に大きく反映されていません。パーク氏は、ブラックロックのビットコインETF(IBIT)とネイティブビットコインのオプション需要に明確な分離があると指摘。IBITではコール・スキューがプラス(上昇保護がプレミアムで評価されている)であるのに対し、ネイティブビットコインのオプション供給が緩和されず、ETF連動オプションへの需要が高まらない限り、ビットコインはレンジバインド(一定範囲内での値動き)を続ける可能性が高いと見ています。
まとめ
マイクロストラテジーのマイケル・セイラーによる強気の購入示唆にもかかわらず、市場センチメントは「極度の恐怖」にあり、アナリストはオプション市場の動きが価格上昇を抑制していると分析しています。デリバティブデータも取引量の減少と未平倉残高の増加という、レンジ相場の継続を示すシグナルを確認しており、強気の企業行動と弱気な市場心理の乖離が現在のビットコイン市場の特徴となっています。