概要
YO Protocolの開発チームであるYO Labsは、シリーズAラウンドで1000万ドルの資金調達を実施した。この資金は、クロスチェーン暗号資産利回り最適化プラットフォームの拡大とインフラ改善に充てられる。同プロトコルは、リスク調整済み利回りを追求し、複数のブロックチェーンに跨って資本を自動再調整する機能が特徴である。
背景
分散型金融(DeFi)分野では、ユーザーが資産から効率的に利回りを獲得する手段として、利回りアグリゲーターが存在する。しかし、多くの既存ソリューションは単一のブロックチェーン内で動作し、クロスチェーンでの最適化や高度なリスク管理に限界があった。YO Labsは、この課題を解決するために設立された。
テクニカル詳細
YO Protocolは、複数のDeFiプロトコル間で資本を自動的に再調整し、リスクを考慮に入れることで利回りを生成する。同チームが構築したExponential.fiプラットフォームは、DeFiプロトコルに透明性のあるリスクスコアを付与し、プロトコルの年齢やコード監査履歴など数千のリスク要因に基づいてデフォルト確率を計算する。これにより、宣伝上の最高利回りではなく、「リスク調整済み利回り」を追求する。
セキュリティ面では、資産をブロックチェーン間で移動させる際に伴うブリッジリスクを軽減するため、ブリッジへの依存を最小限に抑える独自アーキテクチャを採用している。具体的には、各ブロックチェーン上にネイティブ資産を保持する独立したボールト「エンバシー」を確立する。例えば、Arbitrum上のUSDCとEthereum上のUSDCは同じ資産として扱い、中間にブリッジを挟まないため、より安全な設計となっている。
さらに、市場のボラティリティやプロトコル障害といった「アルマゲドンシナリオ」に対処するため、最大5段階までの依存関係を監視する「DeFi Graph」を活用している。これにより、問題が発生した資産に間接的に曝露しているプールからは、自動的に出金をトリガーすることが可能である。
マーケット動向
YO Protocolは現在、yoETH、yoUSD、yoBTC、yoEUR、yoGOLDといったボールトを提供し、米ドル、ユーロ、ビットコイン、金ベースの利回り商品へのアクセスをユーザーに提供している。価格などの具体的な数値データは、元記事では言及されていない。
影響と展望
今回の資金調達により、YO Labsの総調達額は2400万ドル(以前のParadigm主導のシードラウンドを含む)に達した。同社は新たな資本を活用し、より多くのブロックチェーンへの拡大とインフラの改善を進める計画である。これにより、持続可能な利回りを自社製品に組み込みたいフィンテック企業、ウォレット、開発者向けの中核インフラとしての地位を確立することを目指している。
まとめ
YO Labsは、高度なリスク管理とクロスチェーン機能を備えた利回り最適化プロトコル「YO Protocol」の拡大に向け、1000万ドルの資金調達に成功した。ブリッジリスクを軽減する独自の「エンバシー」アーキテクチャと、リスク調整済み利回りの追求が特徴であり、今後のマルチチェーンDeFiエコシステムにおける重要なインフラプロバイダーとしての成長が期待される。