Circle、Axelar開発元のInterop Labsを買収へ。Axelarネットワークは独立を維持

ステーブルコイン発行大手のCircleは、分散型相互運用性ネットワーク「Axelar Network」の主要開発元であるInterop Labsのチームと知的財産権を買収する契約を締結した。買収は2026年初頭に完了予定で、Interop Labsの人員と独自技術はCircleのインフラ事業に統合される一方、Axelar Network本体、その財団、およびネイティブトークンAXLは独立したコミュニティガバナンスの下で存続する。この買収により、Circleは自社のArcブロックチェーンとCross-Chain Transfer Protocol (CCTP) の相互運用性を強化し、マルチチェーンアプリケーションの開発者向けツールの拡充を図る。Circleは時価総額約3100億ドルのグローバルステーブルコイン市場の約25%を占めるUSDCの発行元であり、今回の買収は、ステーブルコイン発行事業者が2025年に相次いで行っているM&A戦略の一環と位置付けられる。

概要

ステーブルコイン発行大手のCircleは、分散型相互運用性ネットワーク「Axelar Network」の主要開発元であるInterop Labsのチームと知的財産権(IP)を買収する契約を締結した。買収は2026年初頭に完了予定であり、Interop Labsの技術はCircleのArcブロックチェーンとCross-Chain Transfer Protocol (CCTP) に統合される。一方、Axelar Network、その財団、およびネイティブトークンAXLは独立したコミュニティガバナンスの下で存続する。

背景

Interop Labsは、異なるブロックチェーン間でのクロスチェーンメッセージングや資産転送を可能にする分散型相互運用性ネットワーク「Axelar Network」の初期開発者である。Circleは、時価総額で世界第2位のステーブルコインUSDCを発行しており、DefiLlamaのデータによると、約3100億ドルのグローバルステーブルコイン市場の約25%を占めている。Circleは2025年1月にも、トークン化マネーマーケットファンド「US Yield Coin」の発行元であるHashnoteを買収するなど、インフラ事業の拡大を進めている。

テクニカル詳細

買収対象はInterop Labsの人員と独自の知的財産権であり、その技術はCircleが開発するArcブロックチェーンおよびCross-Chain Transfer Protocol (CCTP) に統合される予定である。これにより、Arc上で発行される資産の相互運用性の高速化、マルチチェーンアプリケーション向け開発者ツールの強化、およびCircleが構築する製品の開発支援が期待されている。Interop Labsがこれまで担ってきたAxelar Networkの開発責任は、別の貢献者であるCommon Prefixが引き継ぎ、オープンソースネットワークの継続性が維持される。

マーケット動向

DefiLlamaのデータによると、Circleが発行するUSDCの時価総額は、約3100億ドル規模のグローバルステーブルコイン市場の約25%を占めている。2025年はステーブルコイン発行事業者によるM&Aが活発化しており、11月にはPaxosが機関向け暗号資産ウォレットプロバイダーのFordefiを1億ドル以上で買収したと報じられた。また、最大手のTether(USDT発行元)も、伝統的資産事業への少数株主取得など、バランスシートを活用した戦略的投資を進めている。

影響と展望

この買収により、Circleのクロスチェーンインフラが強化され、マルチチェーンアプリケーションへのサポート体制が充実することが見込まれる。一方、Axelar Networkは独立したエコシステムとして発展を続けることになる。ステーブルコイン発行事業者は、単なるデジタル資産の発行を超え、インフラや決済、トークン化資産など関連事業への統合を図るため、M&Aを重要な成長戦略として活用する傾向が強まっている。

まとめ

Circleは、相互運用性技術の強化を目的として、Axelar Networkの主要開発元であるInterop LabsのチームとIPを買収する。Axelar Network本体は独立を維持し、その開発は他の貢献者に引き継がれる。これは、ステーブルコイン市場における競争が、単なるコイン発行からより広範なブロックチェーンインフラ構築へと拡大していることを示す動向の一環である。

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