概要
暗号資産取引所Bitgetは、外国為替(Forex)、商品(金)、株式デリバティブなどの従来型金融(TradFi)商品を取引できる新機能のプライベートベータ版を開始した。この機能では、ステーブルコインのTether USDt(USDT)を証拠金および決済に使用する。現在は選ばれたユーザーのみが利用可能なテストフェーズであり、Bitgetは新市場におけるパフォーマンスとリスク管理を評価している。
背景
Bitgetは2018年に設立された中央集権型暗号資産取引所で、現物・デリバティブ取引、コピートレードなどのサービスを提供している。CoinMarketCapによると、同取引所は暗号資産の現物取引量で第6位、デリバティブ取引量でトップ5にランクインしており、1日あたり約18億ドルの現物取引量と約120億ドルのデリバティブ取引量を処理している。Bitgetのデリバティブ商品はモーリシャスの金融サービス委員会(FSC)の監督下で運営され、最大500倍のレバレッジを提供している。
テクニカル詳細
新機能では、ユーザーは暗号資産の現物・デリバティブ商品と並んで、主要な法定通貨ペア、金、その他のデリバティブ契約を同じプラットフォームで取引できる。取引の証拠金と決済は全てUSDtで行われる。これにより、ユーザーは別の証券口座を開設したり通貨を変換したりする必要なく、従来の取引市場にアクセスできる。
マーケット動向
Bitgetは、CoinMarketCapのデータによれば、1日あたり約18億ドルの暗号資産現物取引量と約120億ドルのデリバティブ取引量を誇る。今回のTradFi商品の統合は、暗号資産取引所が提供する商品・サービスの多様化を図る動きの一環である。また、Bitgetは2024年7月にも、xStocksとの連携によりオンチェーンプラットフォームでトークン化株式(テスラ、NVIDIA、アップルなど)のサポートを追加している。
影響と展望
BitgetのGracy Chen CEOは、暗号資産、金、株式、外国為替、商品を一つのシステムの下に統合することは「歴史的」であると述べている。この動きは、暗号資産取引所と従来型金融商品の境界を曖昧にする業界全体のトレンドの一部である。例えば、Krakenは2024年4月に1万1000以上の米国上場株式とETFの手数料無料取引の提供を開始し、Bybitも2024年7月に金、外国為替、商品、指数、デリバティブ商品にアクセスできるTradFi取引機能を立ち上げている。一方で、Interactive Brokersのような従来の証券会社プラットフォームも、独自ステーブルコインの可能性を検討するなど、暗号資産インフラの統合を模索しており、金融セクターからの双方向の接近が進んでいる。
まとめ
Bitgetは、USDtを利用した外国為替、金、株式デリバティブ取引機能のプライベートベータテストを開始した。これは、単一のプラットフォームで暗号資産と従来型資産の取引を可能にする統合を推進するものであり、KrakenやBybitなど他の主要暗号資産取引所も同様の取り組みを進めている。このトレンドは、暗号資産エコシステムと従来金融のさらなる融合を示唆している。