マイクロストラテジーの優先株STRD、クレジットスプレッドが縮小、週次ATM発行高が過去最高を記録

マイクロストラテジー(MSTR)のジュニア優先株「Stride(STRD)」のクレジットスプレッド(米国10年物国債利回りとの利回り差)が、12月12日に過去最低の8.12%まで縮小した。これは、同社のビットコイン中心のビジネスモデルや財務状況に対する投資家の見方が改善し、リスクプレミアム要求が低下している可能性を示唆している。背景として、同社が12月に優先証券の信用力を強化するため、21か月分以上の配当をカバーする14億4000万ドルの準備金を設定したことが挙げられる。また、12月14日終了の週におけるSTRDのATM(市場価格発行)プログラムを通じた発行額は8220万ドル(約100万株)に達し、同社の優先株発行における週次発行高として過去最高を記録した。直近の数週間は、よりシニアな優先株(STRF、STRK、STRC)ではなく、利回りの高いジュニア優先株であるSTRDの発行が支配的となっており、投資家の選好の変化が示されている。

概要

マイクロストラテジー(MSTR)が発行するジュニア優先株「Stride(STRD)」のクレジットスプレッド(米国10年物国債との利回り差)が、12月12日に過去最低の8.12%まで縮小した。これは同証券に対する需要の強さや、同社の信用力に対する見方の改善を示唆している。また、12月14日終了の週において、同社はATMプログラムを通じてSTRDを約100万株(8220万ドル)発行し、これは同社の優先株における週次発行高として過去最高を記録した。

背景

マイクロストラテジーは、ビットコインを大量に保有するバランスシートを基盤とした、ビットコイン中心の企業戦略を取っている。同社は投資家向けに、保守的な収益商品から高リスクエクスポージャーに至るまでの構造化された利回り曲線を構築する一環として、約6か月前にSTRDを導入した。クレジットスプレッドは、国債などの低リスク資産よりもリスクの高い証券(債券や優先株)を保有するために投資家が要求する追加リターンを表す。

テクニカル詳細

STRDはマイクロストラテジーが発行する優先株の一種であり、配当支払いの優先順位が他の優先株(STRF、STRK、STRC)より下位(ジュニア)に位置する。現在の価格水準では、STRDは同じ表面利率を持つよりシニアな優先株であるSTRFに対して、約320ベーシスポイント(3.20%)の利回りプレミアムを提供している。マイクロストラテジーのマイケル・セイラー会長は以前、この利回り差は企業のファンダメンタルズではなく、資本構成における位置づけに起因するクレジットスプレッドが反映されたものであり、ジュニア優先株であるSTRDの配当不払いは現実的な選択肢ではないと述べている。

マーケット動向

データによると、STRDのクレジットスプレッドは11月中旬以降、着実に低下傾向にある。12月12日に8.12%まで縮小した後、ビットコイン価格が86,000ドルを下回った12月16日(月曜日)には約9%近くまで再び拡大した。発行面では、12月14日終了の週に、STRDのATM発行による調達額が8220万ドルに達し、同社の優先株における過去最高の週次発行高となった。同じ週の他の優先株の発行額は、STRFが1630万ドル、STRKは最小限、STRCはゼロであり、STRDの発行が圧倒的に支配的であった。過去のATM発行データを分析すると、発行はSTRF、STRK、STRD、STRCの間で回転してきたが、最近数週間は最も利回りの高いジュニア優先株であるSTRDが中心となっており、明確なシフトが起きている。

影響と展望

STRDのクレジットスプレッド縮小は、投資家がマイクロストラテジーの財務状況やビットコイン中心のビジネスモデルを再評価し、STRDを以前よりも安定したものと見なし、国債に対する要求プレミアムを小さくしている可能性を示している。また、同社が12月に優先証券の信用プロファイルを強化するため、21か月分以上の配当をカバーする14億4000万ドルの準備金を設定し、ビットコインの蓄積を続けていることも、優先株を裏付けるバランスシートの担保を増加させ、投資家心理にプラスに働いていると考えられる。記録的なSTRD発行高は、市場における同証券への需要の高さを反映している。

まとめ

マイクロストラテジーのジュニア優先株STRDは、クレジットスプレッドが過去最低水準まで縮小するとともに、週次ATM発行高が過去最高を記録した。これは、同社のビットコイン関連バランスシートを背景とした高利回り商品に対する市場の需要の強さ、および同社の信用状況に対する見方の潜在的な改善を示す兆候と解釈できる。発行がSTRDに集中していることは、投資家の選好が同社の優先株の中でも特に高利回りのジュニア層に向かっていることを示している。

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