中国でのマイニングマシン停止により、ビットコイン(BTC)ハッシュレートが2024年半減期後で最大の急落

ビットコイン(BTC)ネットワークの計算能力を示すハッシュレートが、2024年4月の半減期以降で最も急激な低下を記録した。元Canaan(カナアン)会長のJack Kong氏によれば、中国で約40万台のマイニングマシンが最近停止し、計算能力は前日比で約100エクサハッシュ/秒(EH/s)、約8%減少したと推定される。これは、中国が世界第3位のビットコインマイニングハブとして浮上してからわずか1ヶ月後の出来事であり、マイニング産業の地理的集中リスクと収益性の圧迫を浮き彫りにしている。Glassnodeのデータでは、30日単純移動平均ハッシュレートが約1.1ゼタハッシュ/秒(ZH/s)から1 ZH/s強へ低下。ハッシュプライス(マイナー収益の指標)は1ペタハッシュ/秒あたり約37ドルと約5年ぶりの低水準で推移しており、マイナーへの継続的な圧力が背景にある。

概要

ビットコイン(BTC)ネットワークのセキュリティを支える総計算能力「ハッシュレート」が、2024年4月の半減期以降で最も急激な下落を示している。元Canaan(カナアン)会長のJack Kong氏は、中国で約40万台のマイニングマシンが停止したと推定しており、これが主要な要因と見られる。ハッシュレートの低下は、マイナー収益の指標である「ハッシュプライス」が約5年ぶりの低水準にある中での出来事であり、マイニング産業の収益性と地理的集中に関する課題を再認識させるものだ。

背景

ハッシュレートは、ビットコインネットワークの安全性と健全性を示す重要な指標である。この下落は、中国が世界第3位のビットコインマイニングハブ(世界のハッシュレートの約14%を占めると推定)として再浮上してからわずか1ヶ月後に発生した。マイニング産業は過去に中国での規制強化による大規模な移転を経験しており、地理的集中に対する感受性が高い。

テクニカル詳細

VanEckのデジタル資産調査責任者Matthew Sigel氏によれば、ビットコインの30日単純移動平均(SMA)ハッシュレートが急落した。Glassnodeのデータでは、ハッシュレートは約1.1ゼタハッシュ/秒(ZH/s)から1 ZH/s強へ低下。元Canaan会長のJack Kong氏はX(旧Twitter)への投稿で、中国での計算能力が前日比で約100エクサハッシュ/秒(EH/s)、約8%減少したと述べ、平均的なマシンスペック(250テラハッシュ/秒)を基に計算すると、これは40万台以上のマイニングマシンの停止に相当すると推定した。また、新疆ウイグル自治区のマイニング施設が相次いで停止していると指摘した。

マーケット動向

ハッシュレートの後退は、マイナー収益への継続的な圧力と同時期に発生している。ハッシュプライス(マイナーが1ペタハッシュ/秒の計算力を提供することで得られる推定収益)は1ペタハッシュ/秒あたり約37ドル付近で推移しており、これは約5年ぶりの低水準である。一方、ビットコインのマイニング難易度は現在、約3%低下すると予測されており、マイナー収益への一時的な緩和要因となる可能性がある。現在の難易度は148.2兆(T)で、史上最高値の直下にある。

影響と展望

中国での大規模なマイニングマシンの停止は、マイニング産業が依然として特定地域の状況に影響を受けやすいことを示している。Kong氏は、米国が直接的な介入をせずに利益を得ていると示唆するコメントも残している。ハッシュレートの低下に伴い、ネットワークのマイニング難易度が調整される見込みであり、これは残存するマイナーにとって採算性が一時的に改善される可能性がある。しかし、ハッシュプライスが低水準にある根本的な収益性の圧迫は継続しており、非効率的な機器の淘汰や産業の再編が進む可能性がある。

まとめ

ビットコインネットワークのハッシュレートが、2024年半減期後で最大の急落を記録した。中国での約40万台に及ぶと推定されるマイニングマシンの停止が主要因と見られ、マイニング産業の地理的集中リスクと、低いハッシュプライスに象徴される収益環境の厳しさが同時に表面化した事象と言える。ネットワークの難易度調整が進行中であり、産業内での調整が続くことが予想される。

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