OpenAI、3000億ドルのAIインフラ拡大でウォール街にフィードバックループ形成

OpenAIはAMDやブロードコムとの間で総額3000億ドル規模のAIインフラ拡大計画を進めており、これが資本市場に新たなフィードバックループを生み出している。同社は2026年から2029年にかけてAMDから6ギガワット、ブロードコムから10ギガワットのAIアクセラレーター供給を確保。特に注目すべきは、AMDがOpenAIに業績連動型の株式ワラントを付与するなど、サプライヤーの株価評価と顧客の容量拡大が連動する構造が形成されている点だ。ゴールドマン・サックスによれば、データセンターの電力需要は2030年までに165%増加すると予測されており、エネルギー調達とコスト管理が今後の重要な課題となる。この大規模インフラ投資が持続可能なコンピュート経済への架け橋となるか、あるいは相関リスクの源となるかが、投資家の注目点だ。

概要

OpenAIは総額3000億ドルに上る大規模なAIインフラ拡大計画を推進しており、AMDやブロードコムとの間でチップ供給契約を締結した。これらの契約には業績連動型の株式ワラントが含まれるなど、サプライヤーと顧客の関係が資本市場で複雑に連動する新たなフィードバックループが形成されている。

背景

AI産業の急成長に伴い、大規模なコンピューティング能力と電力需要が急速に拡大している。ゴールドマン・サックスの予測では、世界のデータセンター電力需要は2030年までに2023年比で約165%増加すると見込まれている。米国のデータセンターは2030年までに国内電力消費の14%以上を占める可能性があり、電力供給とコスト管理が重要な課題となっている。

企業動向

OpenAIはAMDから6ギガワットのInstinct GPUを、ブロードコムから10ギガワットのカスタムシリコンとラックシステムを2026年から2029年にかけて供給を受ける契約を締結。AMDは業績達成に連動して最大1億6000万株の株式ワラントをOpenAIに付与。また、Oracleとソフトバンクとの「Stargate」構想では、5か所の新たな米国内サイトで3000億ドル規模の投資が計画されている。

市場分析

バンク・オブ・アメリカの10月調査では、ファンドマネージャーの54%がAIをバブルと認識し、現金残高は3.8%近くに達している。マグニフィセント・セブンは2025年半ば時点でS&P500時価総額の約3分の1を占めており、AI関連ニュースや設備投資計画の変更がパッシブポートフォリオに与える影響が大きくなっている。

業界への影響

NVIDIAはコアウィーブに約7%出資しているが、コアウィーブはOpenAIとの契約を65億ドル拡大し、2025年の契約総額は約224億ドルに達している。このように、チップベンダーの株式、インフラレンタル事業者の収入、OpenAIのコンピュート消費が同一のチェーンで結びつく構造が形成されている。

投資家の視点

今後の重要な監視ポイントは、利用率、エネルギーコスト、コスト曲線の3つ。2026年後半から始まり2029年まで続くマルチイヤーランプ期間中、ベンダーとオペレーターの財務成果は、監査済みマージンと契約価格における利益拡大の速度に依存する。発表されたギガワット規模の容量が、実際のワークロード成長、地域の電力供給能力、2028年までのコスト推移とどのように整合するかが、ポートフォリオと財務計画の重要な課題となる。

まとめ

OpenAIを中心とした大規模AIインフラ投資は、資本市場に新たな連鎖構造を生み出している。これらの取引に組み込まれた資金循環が、持続可能なコンピュート経済への架け橋として機能するか、あるいはベンダー、インフラプロバイダー、研究所にわたる相関リスクの源となるかが、今後の注目点である。

一覧に戻る