概要
米国の現物ビットコインETFで先週、12億ドルの純資金流出が発生し、2024年1月の運用開始以来2番目に大きな撤退となった。一方、英国ではロンドン証券取引所でビットコインETNの取引が開始され、小売投資家向け暗号資産投資商品の禁止が解除された。
背景
米国ビットコインETFは、2週間にわたって50億ドル以上の資金流入を記録した後、初めて大幅な流出に転じた。この逆転は、ビットコイン価格が報告期間中に10万4000ドルを下回り、6月以来の安値をつけるなど、ボラティリティの高い週に発生した。
企業動向
SoSoValueのデータによると、ブラックロックのIBITは2億7600万ドル、フィデリティのFBTCは1億6900万ドルの流出を記録。アーク・インベストのARKBとビットワイズのBITBは、それぞれ2億9000万ドルと1億2800万ドルの資金流出となった。グレイスケールの2つのファンドでは3億2100万ドルの流出が発生した。
市場分析
業界専門家は、米中関税戦争によって引き起こされたマクロ経済状況が、ビットコインのようなリスク資産への信頼を揺るがし、資金流出の一因となったと指摘している。ただし、ビットコインは本稿執筆時点で11万ドルを超える水準まで強く反発している。
業界への影響
英国ではブラックロックがiSharesビットコインETPでデビューし、ビットワイズなどの主要発行体も参加。ByteTree創業者のチャーリー・モリスは、Interactive InvestorやSwissquoteなどのプラットフォームで初期の取引活動が「成功」していると述べた。ビットワイズの欧州担当責任者ブラッドリー・デュークは、これらの商品の開始が小売投資家にとって「大きな週」となるとの見解を示した。
投資家の視点
ガラクシーリサーチは、米国のアドバイザリー市場が未開拓の機会を代表しており、ビットコインETFへの大幅な資金流入を牽引すると分析。約30万人の金融アドバイザーが約30兆ドルの顧客資産を管理しており、このチャネルでビットコインETFにわずか2%の配分がなされた場合、約6000億ドルの潜在的な資金流入につながる可能性があると指摘。モルガン・スタンレーはデジタル資産への最大4%の配分を推奨し、バンガードは第三者暗号資産ETFの提供を検討していると報じられている。
まとめ
米国ビットコインETFからの資金流出が発生する中、英国では新たな暗号資産投資商品の取引が開始された。金融アドバイザーを通じた機関投資家の参入が進めば、市場構造の変化とビットコインの主流資産としての地位強化が期待される。