概要
オーストラリア・シドニーのボンディビーチで発生した襲撃事件を受け、事件現場で犯人の一人を武装解除した英雄アーメド・アル=アーメド氏(43歳)を称えるミームコイン「HERO」がSolanaブロックチェーン上で誕生した。このプロジェクトは、作成者手数料の全額を被害者支援に充てることを掲げるコミュニティ主導のイニシアチブであり、並行してGoFundMeでの資金調達キャンペーンも実施している。
背景
2025年12月15日(現地時間14日)、シドニーのボンディビーチで発生した襲撃事件では、15名が死亡、少なくとも42名が負傷する惨事となった。この事件において、果物店を経営するアーメド・アル=アーメド氏が犯人の一人の武装解除に貢献した英雄的行為が世界中で報じられた。この行為に触発され、X(旧Twitter)上で「DefiANT」として知られる人物が中心となり、HEROミームコインのプロジェクトが開始された。
テクニカル詳細
HEROコインはSolanaブロックチェーン上で発行されたミームコインであり、プラットフォーム「Pump.Fun」を利用して作成された。当初の開発者はプロジェクトを放棄した(ラグプル)が、その後コミュニティがトークンの管理を引き継ぎ、DefiANT氏が主導的な役割を果たしている。現在は完全にコミュニティが運営するイニシアチブとして、収益のすべてが被害者支援に充てられる構造となっている。
マーケット動向
DexScreenerのデータによると、HEROコインの時価総額は一時約170万ドルに達した後、現在は約18万ドルで推移している。プロジェクト側は、これまでに作成者報酬から2万ドルを寄付したことを明らかにしており、さらなる寄付を計画している。
影響と展望
このイニシアチブは、暗号通貨コミュニティが社会的な悲劇に対して迅速に反応し、支援のための新たな枠組みを提供し得ることを示した事例となった。プロジェクトチームは、寄付金を複数回に分けて被害者に分配する方針を示している。DefiANT氏はソーシャルメディア上ですでに4万7000オーストラリアドルが被害者に寄付されたことを確認している。また、並行して運営されるGoFundMeキャンペーンでは、約4万人の支援者から230万ドル以上が集まり、目標額の310万ドルに向けて継続中である。
まとめ
シドニー襲撃事件の英雄的行為に端を発したHEROミームコインは、単なる投機対象を超え、コミュニティ主導の被害者支援基金としての機能を果たしている。ブロックチェーン技術を活用した迅速な資金調達と、伝統的なクラウドファンディングプラットフォームとの併用が、効果的な支援活動を可能にしている。今後の展開として、プロジェクトが掲げる継続的な寄付の実行と、資金の透明性ある分配が注目される。