イーロン・マスク氏、SpaceXのIPO間近を確認。DOGEへの再参加は否定

イーロン・マスク氏は、自身が運営する宇宙企業SpaceXの株式公開(IPO)が間近であることを実質的に確認するとともに、過去に長官を務めた米政府効率化局(DOGE)への再参加は行わない意向を示した。SpaceXのIPOは、非公開市場での評価額が2000億ドルを超える、近年最も期待される公開案件の一つとなる。一方、マスク氏はポッドキャストインタビューでDOGEでの経験について「少しだけ成功した」と控えめに評価し、政府職務と自身の企業経営のバランスについて言及した。また、暗号資産(仮想通貨)関連の動向として、Robinhoodが欧州ユーザー向けにEthereumのレイヤー2ネットワーク「Arbitrum」上で取引されるトークン化されたSpaceX株を提供した事例も記事では触れられている。

概要

イーロン・マスク氏は、2025年12月10日、宇宙企業SpaceXの株式公開(IPO)が近いことを示唆するジャーナリストの分析を自身のX(旧Twitter)で支持し、実質的にIPOを確認した。同日、ポッドキャストインタビューでは、かつて長官を務めた米政府効率化局(Department of Government Efficiency, DOGE)に再び参加することはないと述べ、政府での経験を振り返った。

背景

SpaceXは、スターシップ開発や火星探査などの長期的プロジェクトを追求するため、四半期ごとの業績圧力を避ける目的で従来は非公開企業として運営されてきた。そのため、一般の個人投資家が同社の株式を直接購入することは難しく、特に価値の高い非公開企業への投資機会を求める需要が高まっていた。

テクニカル詳細

記事では、暗号資産分野における関連動向として、Robinhoodが2025年6月、欧州ユーザー向け暗号アプリを通じて、トークン化されたSpaceX株を提供したことが言及されている。これらのトークンは、Ethereumのレイヤー2ネットワークである「Arbitrum」上で取引されている。Robinhoodはプロモーションの一環として、50万ドル相当のSpaceXトークンと100万ドル相当のOpenAIトークンを配布した。

マーケット動向

SpaceXの非公開市場での評価額は2000億ドルを超えており、OpenAIやStripeと並び、世界で最も価値の高い非公開企業の一つに数えられている。一般個人投資家にとって、同社への投資機会は長らく「幻の鯨(ホワイトホエール)」、つまり誰もが所有を望むがほとんどがアクセスできないものとされてきた。

影響と展望

SpaceXのIPOが実現すれば、近年で最も注目を集める公開案件の一つとなる。一方、マスク氏はDOGEでの経験について、「全く無駄な資金供給を多く止めた」と成果を挙げつつも、全体としては「少しだけ成功した」「ある程度成功した」と控えめに評価した。DOGE公式サイトは2140億ドルの削減を掲げているが、独立した観察者らはこの数値が実際の節約額に達していないと指摘している。マスク氏は、自身の企業(テスラ等)に集中すべきだったとの見解を示し、政府職務に就いていた期間中にテスラの販売店や充電ステーションで発生したとされる vandalism(破壊行為)事件に言及し、「車が燃やされることはなかっただろう」と述べた。

まとめ

イーロン・マスク氏は、SpaceXのIPOが近いことを示唆し、同社の公開への期待を高めた。同時に、過去の政府職務(DOGE長官)への再参加は否定し、その経験を限定的に評価するとともに、自身の本業である企業経営への集中を改めて示した。暗号資産分野では、非公開企業の株式をトークン化して提供する動き(例:RobinhoodによるSpaceXトークン)が、投資機会の民主化の一形態として進んでいる。

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