ビットコインマイニングの苦境が市場サイクルを試練に、イーサリアム派生商品がCMEで活況

ビットコイン(BTC)マイニング企業が史上最も厳しい利ざや環境に直面している。ハッシュレート価格の低下、運用コストの上昇、1000日を超える機器の償却期間により収益が構造的に圧迫され、CleanSparkなどがビットコイン担保の信用枠を返済するなど財務リスク軽減に動いている。この圧力は株式市場にも波及し、エリック・トランプ氏関連のAmerican Bitcoin社株が1取引日で50%超急落するなど、暗号資産関連株は大きな売り圧力に晒された。一方、予測市場のKalshiは取引量が2024年比10倍に拡大し、110億ドル評価で10億ドルの資金調達に成功。また、CMEグループではイーサリアム(ETH)先物の取引量がビットコイン先物を上回り、オプションのボラティリティ上昇を背景に取引参加が加速している。これらは、暗号資産市場内で資本の循環と関心の移行が起きていることを示唆している。

概要

ビットコイン(BTC)マイニング企業が記録的な利ざや圧迫に直面し、関連株が大幅下落する一方で、予測市場プラットフォームのKalshiが10億ドルの大型資金調達に成功、さらにCME取引所ではイーサリアム(ETH)派生商品の取引量がビットコインを上回るなど、暗号資産関連市場で明暗が分かれる動きが見られている。

背景

ビットコイン価格は歴史的水準では依然高いものの、2024年に実施された半減期によりマイニング報酬が半減した収益ショックに業界が適応を続けている。これに加え、ハッシュレート価格の低下や運用コストの上昇がマイニング経済を圧迫している。

企業動向

マイニング企業は厳しい収益環境に対応し、バランスシートの縮小やレバレッジの削減に動いている。具体例として、CleanSparkはCoinbaseとのビットコイン担保信用枠を全額返済することを決定し、財務リスク軽減を図った。また、多くのマイニング企業が、ビットコインマイニング単体では得られないより安定した収益を確保するため、AIや高性能コンピューティング事業への軸足移行を進めている。

市場分析

ビットコインマイニング株およびビットコイン関連「プロキシ」銘柄は大きな売り圧力に晒されている。エリック・トランプ氏関連のマイニング・デジタル資産管理会社American Bitcoin(ABTC)の株価は、今週、1取引日で50%以上急落し、上場後の高値9.31ドルからは75%以上下落した。これは、ビットコイン価格が10月の高値から後退して以降強まっている広範な売りに起因する。

業界への影響

資本は一部の分野から他の分野へと循環している。予測市場のKalshiは、Paradigmが主導し、Andreessen Horowitz、Sequoia Capital、ARK Investが参加したシリーズEラウンドで10億ドルを調達、評価額は110億ドルに達した。同社の取引量は2024年比で10倍に成長し、11月には45.4億ドルの過去最高を記録、競合のPolymarketを抜き取引量で最大の予測市場となった。

投資家の視点

CMEグループの報告によれば、イーサリアム先物の取引量が最近ビットコイン先物を上回った。CME幹部のPriyanka Jain氏は、ETHオプションがBTCオプションよりも高いボラティリティを示しており、これが投機とヘッジの活動増加を惹きつけ、CMEのイーサリアム先物への参加を直接加速させていると指摘した。同氏は、これがイーサリアムの待望された「スーパーサイクル」の始まりなのか、短期的なボラティリティによるキャッチアップ取引なのか、との問いを投げかけている。CMEは今週、複数の暗号資産ベンチマークとともに新たなビットコインボラティリティ指数を立ち上げ、トレーダーに標準化された価格とボラティリティの参照データを提供している。

まとめ

ビットコインマイニング業界は史上最も厳しい収益環境に直面し、関連株式は大幅な調整局面に入っている。一方で、資本はKalshiのような暗号資産隣接プラットフォームや、CMEで取引量が拡大するイーサリアム派生商品など、市場内の他の成長分野へとシフトしている。これは、暗号資産エコシステム内での資本の再配分と市場の成熟段階の違いを示す動きと言える。

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