概要
米暗号資産取引所大手コインベース(Coinbase)の機関投資家向け部門であるコインベース・インスティテューショナルは、2025年12月6日付の市場レポートで、暗号資産市場が12月中に回復する可能性があるとの見解を示した。その主な理由として、市場の流動性改善と、FRB利下げ期待の高まりによるマクロ経済環境の変化を挙げている。ビットコインは依然として週間では下落しているものの、最近の安値からは回復しており、機関投資家関連のニュースが後押ししていると分析した。
背景
暗号資産市場は、2025年11月に弱含みの展開を見せていた。コインベース・インスティテューショナルは、同月の弱気相場を事前に予測しており、その後反発が来るとの見通しを示していた。今回のレポートは、その後の市場環境の変化に基づく更新された見解となる。
企業動向
コインベース・インスティテューショナルは、自社の分析に基づき市場見通しを定期的に発信している。今回のレポートでは、同社が独自に開発・追跡している「M2指数」を参照し、資産価格に影響を与えるマネーフローの動向から、流動性条件が改善していると判断したことが明らかにされた。
市場分析
ビットコイン(BTC)は、レポート時点で約89,938.30ドルで取引されていた。市場では、来週のFRB利下げの確率が、予測市場のPolymarketで93%、CME FedWatchツールで86%と高く織り込まれており、これがリスク資産への投資意欲を高める主要な要因と分析されている。また、バンガードが暗号資産ETFの方針を転換したことや、バンク・オブ・アメリカが富裕層向けアドバイザーに対し、ポートフォリオの最大4%までの暗号資産割り当てを推奨することを許可したことなど、最近の機関投資家関連の動きが、ビットコインが最近の安値から反発する一因となった可能性が指摘されている。
業界への影響
レポートは、暗号資産市場全体に対する追加的な追い風として、予想されていた「AIバブル」の崩壊が未だ起こっていないこと、および米ドルが弱含んでいることを挙げている。これらの要因は、暗号資産を含む代替資産への資金流入を促す環境要因として機能しうるとしている。
投資家の視点
コインベース・インスティテューショナルの見解は、マクロ経済環境の変化(FRBの金融緩和期待)と市場の流動性改善という二つの要素が組み合わさり、暗号資産市場の短期的な回復機会が生じていることを示唆している。一方で、この見通しはあくまで同社の分析に基づくものであり、市場の変動リスクは常に存在する。
まとめ
コインベース・インスティテューショナルは、FRB利下げ期待の高まりと市場流動性の改善を主な理由に、暗号資産市場が12月中に回復する可能性があるとの楽観的な見方を示した。最近の機関投資家の前向きな動きも市場を下支えしており、AIバブルの持続や米ドル安といった外部環境も追い風となりうると分析している。