概要
米国証券取引委員会(SEC)は、金融監視とプライバシーに関する円卓会議を2025年12月15日に開催する。プライバシーコイン「Zcash」の創業者ズーコ・ウィルコックス氏を含む、複数のプライバシー技術プロジェクトの関係者が登壇予定である。会議は、プライバシー保護技術の仕組みと、金融市場における監視要件との関係を探ることを目的としている。
背景
SECの暗号資産タスクフォースを率いるヘスター・ピアース委員は、新技術が金融監視の手段を見直し、国民の保護と自由の確保のバランスを図る新たな機会をもたらすと述べている。近年、複数の地域で規制当局による監視要件が拡大する中、取引詳細を秘匿したりデータ開示を制限したりするシステムを採用する暗号資産ユーザーが増加しており、プライバシー技術への関心が高まっている。
企業動向
円卓会議への登壇者として、Zcash創業者のズーコ・ウィルコックス氏のほか、Aleo Network FoundationのCEOアレックス・プルーデン氏、PredicateのCEOニキル・ラグヴィーラ氏、SpruceID創業者のウェイン・チャン氏らが名を連ねる。これらのプロジェクトは、ゼロ知識証明、アイデンティティシステム、プライベートな計算フレームワークを構築するチームの代表である。
市場分析
プライバシー技術への関心の高まりは市場のパフォーマンスにも反映されている。Artemisのデータによると、プライバシーに焦点を当てたトークンは2025年に237%以上上昇した。この上昇は、議論の中心にあるZcashやMoneroなどのプロジェクトの強力な上昇によって部分的に牽引されている。プライバシー系トークンは暗号資産市場全体をアウトパフォームしている状況だ。
業界への影響
グレイスケールの最高法務責任者(CLO)クレイグ・サルム氏は、この円卓会議は業界がプライバシープロトコルが規制目標と共存できることを示す機会だと指摘した。また、政策立案者との積極的な対話は、存続に関わる規制リスクを懸念するチームにとって不可欠であり、暗号資産企業に対する「来て話し合おう」という長年の呼びかけに実質的な意味を与える場だと述べた。
投資家の視点
規制環境の不確実性は、特にプライバシー技術に関連するプロジェクトにとって重要なリスク要因の一つと見なされている。一方で、SECが直接的な対話の場を設けたことは、規制の枠組みが明確化される可能性を示唆する前向きな動きとして捉える見方もある。今後の政策決定は、これらのプライバシーシステムの将来の規模と発展に大きな影響を与えることになる。
まとめ
SECが主催する金融監視とプライバシーに関する円卓会議は、同委員会がプライバシー技術を暗号資産エコシステムの重要な構成要素として正式に認識し、その開発者らと直接対話する重要な一歩となる。市場ではプライバシー系トークンが顕著な上昇を見せるなど関心が高まっており、今後の規制議論の行方が業界の方向性を形作ることになる。