概要
米国議会は、暗号資産(仮想通貨)規制の根幹を成す「市場構造法案」の審議が会期末(2025年12月)に迫っても進展しておらず、成立は2026年以降にずれ込む見通しとなった。一方、規制を執行する商品先物取引委員会(CFTC)と連邦預金保険公社(FDIC)の新長官候補の承認手続きは進められており、上院による一括承認決議案の採決が近く行われる予定である。
背景
米国では、暗号資産が証券か商品かの法的区分や、取引所の規制枠組みを明確化する「市場構造法案」の立法が業界からの強い要請事項となっている。2025年の会期は残り2週間となっており、議会は限られた時間の中で優先事項の処理に追われている。
市場分析
記事本文では特定の企業の株価や市場データには言及されていない。ただし、関連する暗号資産の価格情報として、BTCが約89,691ドル、ETHが約3,049ドルなど、主要暗号資産の時価が冒頭にリスト表示されている。
業界への影響
市場構造法案の審議遅延は、暗号資産取引所や関連事業者にとって規制の不透明性が継続することを意味する。明確なルール整備の先送りは、事業計画の策定や新規投資の判断を困難にし、米国市場における業界の成長を妨げる要因となりうる。一方、CFTCとFDICの新体制が整うことで、既存の権限に基づく規制執行が活発化する可能性がある。
投資家の視点
立法プロセスの停滞は、短期的には規制リスクの不確実性を市場に残す。投資家は、包括的な法案成立までの間、個別の規制当局の動向や執行リスクに注意を払う必要がある。長期的には、明確な法規制の整備が市場の成熟と機関投資家の本格参入にとって不可欠であるとの認識が業界で広く共有されている。
まとめ
暗号資産業界が待ち望む米国における包括的な市場構造法の成立は、2025年中に実現する可能性は極めて低くなった。議会の審議は停滞している一方、規制当局のトップ人事は前進しており、法整備が遅れる中でも執行面の体制は整いつつある。業界は、残り少ない会期中での部分的な進展か、来年以降の本格審議に期待を寄せることになる。