概要
米仮想通貨取引所Coinbaseの機関向け部門は、流動性の改善やFRB利下げ期待の高まりを背景に、仮想通貨市場が12月中に回復する可能性があるとの見解を発表した。また、仮想通貨専門家は、小型株指数「ラッセル2000」の動向がアルトコイン市場の先行指標となり得ると指摘している。
背景
仮想通貨市場は先月、大幅な下落を経験した。こうした中、市場関係者の間では今後の方向性に対する関心が高まっている。
企業動向
Coinbase Institutionalは、X(旧Twitter)への投稿を通じて、流動性が改善しつつあることから、仮想通貨市場が12月の回復に向かう可能性があるとの見解を示した。同部門のリサーチチームは、FRBが12月1日に量的引き締め(QT)を終了した点を特に指摘。さらに、12月4日時点でFRBが12月のFOMC会合で25ベーシスポイントの利下げを行う確率が92%に達しているとし、マクロ的な追い風が強まっていると分析した。
市場分析
Coinbase Institutionalは、市場で懸念材料とされていた「AI(人工知能)バブル」はまだ破裂しておらず、上昇余地が残っていることも、仮想通貨市場回復の材料となるとの見方を示した。同部門はまた、現在の水準では米ドルショート(売り)ポジションが魅力的であると述べた。さらに、同部門独自のM2指標を引用し、11月の弱気な相場は12月に反転することを予想していたと付け加えた。これに沿って、同取引所は、これが市場の勢いが再び強まる出発点となり得ると宣言した。
一方、仮想通貨専門家のAsh Crypto氏は、小型株指数「ラッセル2000」がアルトコイン市場の強気相場(アルトシーズン)における最大の指標であると指摘。同指数がまもなく史上最高値を更新する可能性があると述べた。同氏によれば、ラッセル2000とアルトコインの時価総額はともに2021年11月にピークを迎え、その後2022年から2023年にかけて長期的な弱気相場に入った。現在、ラッセル2000は2021年11月の高値圏を再テストしており、これは重要な抵抗帯である。この水準を上抜けすれば、2026年の本格的な強気相場の始まりを確認するものになるとの見解を示した。
同氏はさらに、米国のアルトコイン市場(ラッセル2000)と仮想通貨のアルトコインはしばしば連動して動く歴史があると指摘。したがって、ラッセル2000がブレイクアウトすれば、イーサリアム(ETH)やその他のアルトコイン価格も追随すると予想した。また、仮想通貨市場は「10/10フラッシュクラッシュ」後の恐怖状態にあり、すべてのレバレッジが一掃されたことは、パラボリック(急騰)が始まる完璧なシナリオであると主張。市場参加者は今後数週間のアルトコインの動向を知る手がかりとして、ラッセル2000に注目すべきだと助言した。
業界への影響
詳細は不明。
投資家の視点
Coinbase Institutionalは、流動性改善と金融政策緩和期待を主な理由として、短期的な市場回復の可能性を提示した。一方、Ash Crypto氏は、伝統的な金融市場の特定の指標(ラッセル2000)が仮想通貨市場、特にアルトコインの将来の動向を示す先行指標となり得るとの見方を示しており、投資家が注視すべきマクロ的な関連性に注目している。
まとめ
Coinbaseの機関向け部門は、FRBの金融政策転換や流動性改善を背景に、仮想通貨市場が12月中に回復局面に入る可能性を示唆した。同時に、市場アナリストは、小型株指数の動向が仮想通貨市場、特にアルトコインの重要な先行指標となり得るとの見解を述べており、今後の伝統的金融市場と仮想通貨市場の連動性に注目が集まっている。