仏銀大手BPCE、200万人の個人顧客向けに暗号資産取引サービスを開始へ

フランスの大手銀行グループBPCEは、傘下のBanque PopulaireおよびCaisse d’Épargneのアプリを通じて、個人顧客向けに暗号資産取引サービスの提供を開始する。最初のパイロットフェーズでは約200万人の顧客が対象となり、2026年までに全1,200万人の個人顧客基盤への拡大を計画している。取引可能な暗号資産はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、USDCの4種類で、サービスはBPCEの暗号資産特化子会社Hexarqが管理する別個のデジタル資産口座を通じて提供される。利用には月額2.99ユーロ(約3.48ドル)の手数料と1.5%の取引手数料がかかる。この動きは、欧州の他行(BBVA、サンタンデール銀行、ライフアイゼン銀行など)が既に開始している類似サービスに続くもので、伝統的金融機関による暗号資産市場への本格参入が加速していることを示している。

概要

フランスを代表する銀行グループの一つであるBPCEは、2025年12月9日(月)から、傘下のBanque PopulaireおよびCaisse d’Épargneの銀行アプリを通じて、個人顧客向けに暗号資産取引サービスの提供を開始する。最初の段階では約200万人の顧客が対象となり、2026年までに全1,200万人の個人顧客への拡大を計画している。取引可能な資産はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、ステーブルコインのUSDCの4種類で、サービスは子会社Hexarqが管理する別口座で提供される。

背景

暗号資産(仮想通貨)市場が成長を続ける中、欧州を中心とした従来型の金融機関が、顧客の需要に応える形で暗号資産関連サービスへの参入を活発化させている。規制環境の整備(欧州のMiCA規則など)も、金融機関による参入を後押しする要因の一つとなっている。

企業動向

BPCEは、Banque Populaire Île-de-FranceやCaisse d’Épargne Provence-Alpes-Côte d’Azurを含む4つの地域銀行の顧客からサービスを開始する。顧客は既存の銀行アプリ内から、ビットコイン、イーサリアム、ソラナ、USDCの購入・売却が可能となる。サービスは、BPCEが設立した暗号資産に特化した子会社「Hexarq」が管理する専用のデジタル資産口座を通じて提供される。この口座には月額2.99ユーロの利用料と、取引額の1.5%(最低1ユーロ)の取引手数料がかかる。BPCEの関係者は、段階的なローンチは、本格展開前に利用状況やシステムパフォーマンスを監視するためだと説明している。

市場分析

この発表は、暗号資産市場における伝統的金融機関の存在感が増していることを示す最新の事例である。BPCEはフランス有数の銀行グループであり、約1,200万人という巨大な個人顧客基盤を持つ。その一部へのサービス開始は、新規参入者を市場に引き込む可能性がある。サービス開始時の取引対象資産は主要な暗号資産4種類に限定されている。

業界への影響

BPCEの動きは欧州の銀行業界におけるトレンドの一端をなしている。スペインのBBVAは既に自社の銀行アプリで直接暗号資産取引を提供しており、サンタンデール銀行グループのOpenbankも5種類の暗号資産へのアクセスを提供している。また、オーストリアのライフアイゼン銀行のウィーン拠点も、Bitpandaと提携して顧客に暗号資産サービスを提供している。BPCEの参入は、この流れをさらに強固なものにし、欧州における銀行主導の暗号資産サービス競争を激化させる可能性がある。

投資家の視点

金融機関による暗号資産サービス提供の拡大は、市場の正統性と流動性の向上につながる可能性がある。一方で、BPCEのような大手行が参入することは、既存の暗号資産取引所にとっては新たな競合要因となる。また、銀行が提供するサービスは規制の枠組み内で運営されるため、顧客保護の面では一定の安心材料となるが、手数料体系や取扱資産の幅などが利用者や投資家の選択に影響を与えるだろう。

まとめ

フランスの銀行グループBPCEは、大規模な個人顧客基盤を背景に、段階的に暗号資産取引サービスを開始する。これは欧州銀行業界における明確なトレンドを反映した動きであり、暗号資産市場と伝統的金融の融合が着実に進展していることを示している。サービスの成否は、顧客の受容度や競合他社との差別化、そして市場環境に左右されることになる。

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