概要
オンチェーン分析プラットフォームCryptoQuantは12月7日(現地時間)、ビットコイン(BTC)市場の売り圧力が「完全なリセット」状態にあるとする分析を公表した。ビットコイン価格が9万ドルを下回ったことを受け、長期保有者(LTH)の売却習慣がリセットされ、利益指標である「ビットコインSOPR比率」が2024年初頭以来の低水準である1.35に達した。一方、短期保有者(STH)は価格変動に反応した不安定な取引行動を示している。
背景
ビットコインの保有者は、通常、155日以上保有する「長期保有者(LTH)」と、それ未満の「短期保有者(STH)」に分類される。SOPR(Spent Output Profit Ratio)は、使用済みトランザクション出力(UTXO)が利益状態か損失状態かを測定する指標で、市場参加者の利益確定行動を分析するために用いられる。
市場分析
CryptoQuantの分析によると、ビットコイン価格が4月以来の低水準である約8万9700ドルまで下落した状況下で、長期保有者のSOPRを短期保有者のSOPRで割った「ビットコインSOPR比率」が1.35に低下した。これは2024年初頭以降の最低水準となる。この低下は、長期保有者による大規模な利益確定売り(ディストリビューション)が終息し、市場の過熱感(投機的泡沫)が一掃された「完全なリセット」が起きていることを示唆している。
一方、短期保有者の動向を30日間の純ポジション変化(ロールリングベース)で見ると、11月24日に大きな上昇スパイクを記録した後、12月1日(12月の月初めにビットコイン価格が再び下落したタイミング)にマイナスに反転するなど、価格変動に左右される「膝反射的な」取引決定が見られた。
投資家の視点
分析レポートでは、SOPR比率の低下は市場の「大幅なリセット」を示しており、前サイクルで比率を高めた投機的な熱気が排除された状態であると結論付けている。これは、長期保有者の売り圧力が一時的に収まり、市場が冷却局面に入った可能性を示す指標として捉えることができる。ただし、短期保有者の不安定な動きは、短期的な価格変動リスクが依然として存在することを示している。
まとめ
CryptoQuantの分析は、ビットコイン価格が9万ドルを下回ったことで、長期保有者の売り圧力がリセットされ、主要な利益指標が約2年ぶりの低水準に達したことを明らかにした。これは市場の過熱感が一掃された「完全なリセット」の兆候と解釈できる一方、短期保有者は引き続き価格変動に敏感に反応しており、市場には二つの異なる層の動向が共存している。